連載イッキ読み・ネズミが潜む都市-“穴”が映すまちづくりの盲点-(上)
◆影響は文化発信活動にも
歌舞伎町にとってはおなじみのネズミだが、放っておけない被害が生じていることも事実だ。筆者が訪れた新宿歌舞伎町春画展覧会WA「葛飾北斎・渓斎英泉-歌舞伎町花盛り-」の主催者であり、同町周辺で飲食店など20店舗以上の経営を手掛けるSmappa!Group代表の手塚マキ氏は、ネズミの存在が展覧会の開催を脅かしたと明かす。
「作品損傷への懸念から、(作品の)所有者が歌舞伎町での展示に不安を訴えていた。会期中も、ネズミや不法投棄されたゴミの様子がSNS(交流サイト)で投稿され、イメージ面でも悪影響を感じる。このような問題が放置されれば、文化の発信地としての価値や、まち全体の可能性を狭めてしまうのでは」と懸念する。
会場で貴重な作品の数々に触れている最中も、筆者の脳裏には、入り口で見たネズミの姿がこびりついて離れなかった。
人と人が出会い、関わり合うまち・歌舞伎町で、江戸時代の人情あふれる暮らしを描いた春画を展示する意義は大きい。しかし、あろうことかその傍らで、人類以上に盛んに交流する生物の姿があったとは。しばらく食欲を失うほどの光景を目にした筆者の中で、このまちに抱く印象が大きく変わり始めていた。
手塚氏が懸念するように、意外にもわれわれのすぐそばで生活するこの生物は、今後のまちづくりにとって大きな脅威となるのではないだろうか。新宿区、さらには最前線で被害に対処する害虫・害獣駆除業者への取材を通して、ネズミがまちづくりに及ぼす影響に迫った。
