現場から・長谷工コーポレーション/ワンチームで“千葉一”目指す
【(仮称)船橋市本町1丁目計画新築工事/高さ193mへ空に伸びる】
全国安全週間の初日となる7月1日。午前7時過ぎに千葉・船橋駅前にある「(仮称)船橋市本町1丁目計画新築工事」の現場を訪ねた。長谷工コーポレーションが設計・監理と施工を担当するRC・S造51階建てで、完成すれば最高高さは約193mとなる、“千葉一”の高さを誇る巨大マンション計画だ。メインゲート横の職員用出入り口では、現場関係者が足早に行き交っていた。羽織姿で小脇に図面を抱える人、軽装にイヤホン、サンダル姿の職人まで、小さな扉の向こうへ次々と入っていく。
午前8時少し前、1階の広場にヘルメット姿の職人がずらりと並んだ。現場恒例のラジオ体操だ。一通り終わると深呼吸。音楽が止まる。
イチニッサンシッ--。
想定外の「もも上げ」運動が始まった。聞くと、この現場独自の準備運動だそう。前に、外に、内に、ぐりぐりと膝を突き上げる。
高齢就業者が増える建設現場では、つまずきや転倒への対策が重視されている。4月には高年齢労働者対策も強化された。職人たちは黙々と体をほぐし、一日の作業に備える。
準備運動が終わると朝礼となる。この日の入場者は約150人。次々と各職長が立ち上がる。
「人員16、体調不良者なし。ハギワラ(ハイ)、ヤマナカ(ハイ)……」。一人ひとりの名前を読み上げ、点呼する。
注意事項の周知では、多国籍化する現場の姿もうかがえた。
「外国籍の方、翻訳アプリ聞こえていますか」
司会者の問い掛けに、複数の職人がうなずく。会場に置かれたパイロンには、「日本語が分からない方はQRコードを読み込んでください」と書かれた案内とともに2次元コードが掲示されていた。リアルタイムで多言語翻訳できるアプリにつながるという。
「本日の注意ポイントを伝えます。一番上のフロアで作業される方、手を挙げてください。中央でPC部材のセットを行います。接近を知らせるホイッスルが聞こえたら必ず頭上を確認し、離れてください」
朝礼が終わると、職人たちはそれぞれの持ち場へ向かっていった。
◆ ◆
ビーーーーーーーーー。
ほどなくして、ホイッスルがけたたましく鳴り響いた。長く、力強い音色に、吹き手の警告の意思がにじむ。クレーン側からもブザーや「ご注意ください」という無機質な警告音が流れ、タワークレーンにつられたコンクリート梁が建設中のフロア最上部へ静かに近づいていく。
「一回、揺れ止めろ。止めろ」
親方の落ち着いた声が飛ぶ。介錯(かいしゃく)ロープを握る2人が慎重に梁の向きを整える。はしごを柱に立て掛け、職人が手を伸ばす。梁が鋼棒へぴたりと納まるよう、最後の位置を慎重に調整していた。周囲が見守る中、梁はするりと柱へ納まった。
とびの職長は「部材は10-20tある。気を抜けば手を挟まれる。合図者とオペレーターの手元が狂えば、人が亡くなるリスクもある」と引き締まった表情で話す。
体操、点呼、多言語での情報共有、一瞬も気の抜けない揚重作業。その繰り返しを経て、“千葉一”を目指す現場は、今日も空へ伸びている。
◆工事概要
▽工事名称=(仮称)船橋市本町1丁目計画新築工事
▽事業主=大和ハウス工業・東京建物・京成電鉄JV
▽設計・監理=長谷工コーポレーション
▽施工=長谷工コーポレーション第4施工統括部
▽施工場所=千葉県船橋市本町1丁目115番ほか
▽構造=RC造、一部S造地上51階地下1階建て
▽建物用途=共同住宅、地下1階-6階は店舗、事務所など
▽延べ床面積=8万9610.75㎡
▽工事期間=2024年8月~28年3月
建設通信新聞 2026年8月7日掲載
